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「俳優は白紙なほうがいい」役所広司が語る、俳優という仕事の魅力

暴力団系列の金融会社社員の失踪事件を追う刑事の姿や、暴力団組織間の激しい抗争を描いた映画『孤狼の血』で、独自の矜持を持つ大上章吾を演じた役所広司さんのインタビュー後編をお送りします。

前編では、映画のエピソードや、松坂桃李さんとの共演について、語っていただきました。

☆前半はこちら

後編のインタビューでは、今と昔の日本映画の違いや、キャリアの長い役所さんならではの、俳優という職業の面白さなど、幅広くインタビューにお応えいただきました!

Q:白石和彌監督との初取り組みは、いかがでしたか?

役所広司(以下、役所):「昭和の香りがする監督だと言われる」とご自身でも言われていましたけど、若松(孝二)監督のところで育っているからか、撮影現場も確かに昭和の監督の雰囲気がありました。撮影現場に行き、芝居をして、カットを割っていって、自分が「このカットがほしい」というところを粘って、テストを繰り返して時間を掛けて撮る。今、映画はデジタルの時代になって、たくさんの素材をいろいろなアングルから撮る監督が主流になってきていると思うんです。そういう意味では、白石監督は自分の必要なカットを丁寧に撮る監督だと思いました。編集でどうこうしようじゃなくて、監督の頭の中にはしっかりとしたイメージがあるんだと思います。

Q:大上を演じる前と後で、心境の変化はありましたか?

役所:『孤狼の血』のような映画は、若いとき、単館系でたくさんやっていました。今、ぱったりなくなって。あの熱くて、激しい映画を作っていた時代が懐かしく思えました。今思うと、あの頃の日本映画は豊かだったんだなぁ~と思います。もっといろんなタイプの映画があって、非常に面白かった時代だったんだな、と改めて思いました。「ああいう映画があったな」と忘れかけていた頃に、今回の話がきたんですよね。

これから『孤狼の血』のようなテイストの映画を東映さんが作っていくかはわかりませんが、僕は東映さんにしかできないお家芸だと思いますので、もうちょっと増えていくと面白いと思います。女の人は暴力的なものが苦手な方も多いかもしれませんけど、男の子が映画館から出てくるときにね、ちょっと格好つけて、強そうな気分になって出てくるような(笑)、そんな映画がもうちょっとあってもいいかなと思いました。

Q:女性でも強くなって肩で風を切って映画館を出て行く気持ちになりました。

役所:そう(笑)?ありがとうございます。僕もそうなんだけど、昔、この手の映画を観ると、恥ずかしいけどやっぱり気分が変わっているんですよね。

Q:「日本映画は意外と豊かな感じがしていた」とお話されたことについて、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?

役所:予算的には全然豊かではなかったんですけど、いろいろな映画監督たちや脚本の人たちが「こんな映画はどうだ?」と、バラエティに富んだ作品が多かった気がするんです。今は「これだったらヒットするだろう」という作品を大ヒット小説や、人気漫画から引っ張ってくる時代だけど、昔は映画が流行を作ってきた時代があったと思うんです。そのためには、映画界がもっと頑張ってオリジナルを作らないといけないんじゃないかな、と。

Q:東映と言えば、『仁義なき戦い』(深作欣二監督)のイメージが強いです。役所さんにとって、東映映画はどんな存在でしょうか?

役所:深作さんの『仁義』シリーズは、青春時代に観た記憶もありますし、こういう男たちが「格好いい」という時代がくると、日本映画も面白くなりませんかねぇ?男の子が男らしく活躍するところ、女性を命がけで守るとか。アウトローなヤクザの世界でも、この人たちは命をかけているので、生きざまというもの、死と隣り合わせに生きるということは、ドラマとして描きやすいですもんね?

Q:キャリアも長いですが、俳優という職業の面白さは、どこにあると感じていますか?

役所:俳優の面白さのひとつは、例えば、日常生活では絶対に吐けないような台詞を、堂々と役を借りて語れることですかね。映画でもテレビでも舞台でも、共通して言える醍醐味かもしれません。もうひとつ、俳優の面白さは、現場に行きスタッフとキャストと作っていくときに、自分が想像もしなかったような気持ちや閃きがフッと湧いてくる瞬間があるんです。それが面白いんじゃないでしょうかね。

Q:役所さんは、作品ごとに印象が本当にガラリと変わるので毎回心底驚きます。

役所:顔も姿も声も変えられるといいのですが、それは限界がありますからねぇ~。俳優という仕事は、やっぱり得体が知れないほうがいいですよね。「この人、どんな人だろう?」というほうが、仕事するうえで得だと思うんです。昔の俳優さんは、趣味のことや好みの女性とか(笑)、私生活が全くわからなかった。でも今の僕たちの時代は、メディアを通して語っていっているし、たくさんのことを知られているし、調べようと思えばいくらでも調べられるし。しかし、本来、俳優は白紙なほうがいいんだと思います。いろいろな色に染まっていくほうが、観ているほうも楽しいんじゃないかな。

Q:ありがとうございました。最後、NOSH読者に『孤狼の血』をどのように楽しんでもらいたいか、ぜひ一言お願いいたします。

役所:「バカだねえ、男って」って思っていただき(笑)、「でもかわいいな」という感じで観てくれると、この手の映画は女の人も受け入れてくれるんじゃないかなと思います。男の子はバカなことをするんですよね。(取材・文:赤山恭子、写真:岩間辰徳)

映画『孤狼の血』は5月12日(土)より全国ロードショーです!

役所広司/松坂桃李 真木よう子 江口洋介

原作:柚月裕子(「孤狼の血」角川文庫刊)

監督:白石和彌 脚本:池上純哉 音楽:安川午朗

撮影:灰原隆裕 照明:川井稔 録音:浦田和治 美術:今村力

企画協力:株式会社KADOKAWA

製作:「孤狼の血」製作委員会 配給:東映 126分

www.korou.jp

(c)2018「孤狼の血」製作委員会

2018年5月12日全国ロードショー

 

衣裳協力/GIORGIO ARMANI(ジョルジオ アルマーニ)

<問い合わせ先>
ジョルジオ アルマーニ ジャパン株式会社/03-6274-7070

スタイリスト/安野ともこ(ヤスノトモコ)(コラソン)

ヘアメイク/勇見勝彦(THYMON Inc.)

 

■プロフィール

1956年生まれ。日本を代表する俳優として、数多くのテレビドラマや映画に主演する。

95年、『KAMIKAZE TAXI』で毎日映画コンクール男優主演賞を受賞。翌年の『Shall We ダンス?』『眠る男』『シャブ極道』では、国内の主演男優賞を独占。

また、『CURE』『うなぎ』(いずれも97年)、『ユリイカ』『赤い橋の下のぬるい水』(いずれも2001年)など、国際映画祭への出品作も多く、数々の賞を受賞している。

スペインのシッチェス・カタロニア国際映画祭(14年)では、『渇き。』で日本人初の最優秀男優賞を受賞。

09年、主演の『ガマの油』で初監督を務める。12年に紫綬褒章を受章。

映画の近作としては『関ヶ原』『三度目の殺人』『オー・ルーシー』などがある。

赤山恭子
エンタメライター
エンタメ雑誌編集部、映画のディストリビューターを経て、現在は主に映画&テレビ関係のインタビューや取材を担当。基本おもしろ好きなので、いろいろなところに首を突っ込んでは、ワクワクした毎日を過ごす。
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